知ったかぶりの怪
 全米が泣いた!

ケーキ屋さんと祖母のいちごのショートケーキエピソードの裏舞台では、とんでもない悲しくもおかしいとり天姉妹がおりました。



やっちまったなぁ〜`,、('∀`;) の回想録。






あの日、祖母が息を引き取り、とり天姉妹は大人になってからはじめて、身内のお葬式を体験することになる。






深夜1時に続々と親兄弟、私と姉とり天、そしていとこ兄弟の孫4人もみんなで集まって祖母の死を悲しんでいました。

午前3時には葬儀の準備がはじまりました。

続々とお葬儀屋さんからいろんなアイテムが届き、祖母も綺麗な着物を着せていただいて、お化粧は私と姉とり天でいたしましたのよ


おばあちゃま、色白でとっても綺麗。 三途の川を渡ったらおじいちゃまが迎えにきてるから、くちべにはちょっと赤いのをつけたりしました。

悲しいんだけど、私と姉とり天は

「まゆげどーする?」とか、「描きすぎや!」とか、
ほのぼのやりとりをしながら、いつまでも祖母のそばからはなれたくなくて、なんやかやと着物をなおしたりしていました。





ふと、ドライアイスと大きく書かれた箱が届きました。




はじめてお葬式の準備を手伝う私は、そのドライアイスを見て、姉とり天に

とり天「ねえねえ・・・おねえちゃん。。。ドライアイスだよ。」

姉とり天「ほんとだ・・・」


ここで私たちの考えていることが一致するもんで、


とり天「いまどきって、、しゃれてるんだね。。雲の上に乗ってるような演出するんやろか・・・

姉とり天「だれがお湯かける?」

とり天「私がかけちゃっていいよ。座敷が雲みたいになるんだー、、、すげーー」

姉とり天「すげー、、おばあちゃま喜ぶね。」



という小声で会話をしていると、お葬儀屋さんが祖母の布団の下にドライアイスを敷きはじめた・・・








私たち姉妹は心の中で「Σ(゚Д゚;)・・」 こんなんなってたのを押し殺し、、肩をふるわせた。




着々と準備も整ってきて、もう朝になってきたので、このあとどうするんだろうな。。
一度着替えたりしなくちゃなんないよなぁ。。

とおもいつつ、ひとつ年下の従兄弟に

とり天「ねえねえ、このあとどうすんだろ。」

って聞いたら、

従兄弟が「このあとは、まくらぎがくるだけだってさ。だから一回帰ってもいんぢゃない?」


という。


とり天「は? まくらぎ?」

従兄弟「うむ。」


とり天「まくらぎがくるだけ、、そっか。了解。なら、、一度かえるね。」




あたまの中はもう「枕木」でいっぱい。。








うちには亡くなると頭の下には枕木を敷くのか。。と、こんなときは知ったかぶってしまうものだ。みんなも経験あるでしょー( ;∀;)



まして従兄弟より年上の私はこんなときこそ動じることはご法度だ。


姉とり天もどーするって??って聞いてきたので、私は真顔で


とり天「あとは枕木がくるだけだって。だからおねーちゃんも一度帰ってきがえてこよう。」


私にはこの時点でちょっと期待があった。

姉だからまちがってたらおしえてくれるはず

だがしかし!




姉とり天
「そうなんだ。枕木ね。了解。なら一度かえろう」




真顔で言うからもう 枕木カンペキ


とりあえずみんな解散してそれぞれ準備に帰った。



昼近くになって、通夜のためにまたみんな集まってきた。


従兄弟ふくめて私たちはくちをそろえて、「おばあちゃまの枕、あれ、枕木?」
「ぢゃないよねえ・・」「なんか巻いてんぢゃね?」と、みんな否定はしたくなくてあれやこれや考える。


それとなく私は母に「ねえねえ、枕木どこ( ゚Д゚)?」


「はっ?なに?」

とり天「だから枕木はどこ敷いてんの?」

「え? なに???」

とり天「だから枕木!!!」










そして枕経(まくらぎょう)のことを知る。

従兄弟の聞き間違いからはじまった知ったかぶりの怪。




人生は経験だ。





出棺の前に、棺に打つ釘をみんなで順番に石で打ちます。

そのとき、当時4歳の長男が

「カトリおばあちゃんが天国で出られなくなるからみんなやめてーーー。゚ヽ(゚`Д´゚)ノ゚。ウァァァン」と泣き出して、またみんなが涙します。




出棺のとき、、霊柩車をお見送り。


クラクションが鳴り響くと同時に、当時2歳半の次男ゆうだいが、、私にだっこされて肩に涙をぼとぼと落としてすすり泣きをはじめました。。




2歳半でも、、、わかるんだね(;Д;)(;Д;)(;Д;)(;Д;)。。




みんなそんな様子を見てまた涙したときに次男が一言。。



「あのかっこいい車にぼくものりたかったー。゚ヽ(゚`Д´゚)ノ゚。ウァァァン」

「かっこいい!かっこいいいいい。゚ヽ(゚`Д´゚)ノ゚。ウァァァン」





金のお屋根のついた霊柩車。。




おばあちゃん( ´∀`)

天国で見守っててね( ´∀`)



庭に、おばあちゃんが何年か前に植えたあじさいがあります。

ずっと咲かなかったのにひとつだけ!
その日、白い紫陽花が咲きました。

10月2日のことでした。

| とり天娘 | 読み物系 | 20:15 | comments(9) | - | pookmark |
いちごのショートケーキ
いちごや、ショートケーキを見ると思い出す私のおばあちゃんと、あるケーキ屋さんのあったかいお話。

10年前にさかのぼります。





空気が澄んで、空が高くなって、山がすすきの穂で黄金の絨毯になる季節、
94歳になるおばあちゃんはだんだん歩けなくなり、とうとう寝たきりになっていました。



西南女学院の第1期生のハカマをはいたハイカラさんだったおばあちゃん。
戦争や戦後の荒波をくぐりぬけ満州にわたったり、命からがら生き延びた大変な半世を送ったおばあちゃん。
でも年をとってからは家族や孫たちと幸せに過ごしておりましたよ(*^o^*)



おばあちゃんの名前はカタカナで「カトリ」。



日露戦争のころつくられた、香取型戦艦の1号艇「戦艦香取」からつけられたんだって。

女の子なのに勇ましい名前だね。

まあ、お察しのとおり私たちは子供のころは蚊取り線香おばぁちゃ〜ん♪なんて愛称も(‐^▽^‐)




9月のある日、、ハイカラさんなおばあちゃんも、みんなに囲まれて

その「時」を迎えようとしていました。



おばあちゃんは、床の間のお座敷にリクライニングベッドを置いて、先立ったおじいちゃんが大事にしていたお庭を眺めていましたが、



もう・・



おしゃべりすることもなくなり、食べることもなくなり、おきているのか、寝ているのか、わからない感じで何日か経ったころ、

姉とり天や、私も、おばあちゃんを囲んでそれでも楽しくにぎやかに思い出話なんかをしていました。





すると、かすかにおばあちゃんの口が動いてるの!


私たちは

「おばーちゃんなーに??なーーに?」

って一生懸命聞き取ろうとしました。


すると、声にこそならないけれど、息を吐く音にのって





「 い  ち  ご  み  る  く 」








「え゛!いちご???いぢごミルク??

食べたいの?おばーちゃん!!」




そしたらおばあちゃん、かすかだけどうなづいたの!


そこで思い出した。。


おばあちゃんはいちごをつぶしたいちごミルクが超〜大好きだった!!!!ってこと!

私たちはみんなで手分けしてスーパーへ!






しかし、、  あれ?・・・いちご、、ない。。


そのころはちょーど9月のおわりごろでした。


でも、いまは季節を問わずなんかしらあるものと、大きなスーパーもまわったけど、ない。。


この時期はやっぱりデパートか!


・・・でもデパートにもなかった・・・(;へ:)




もうまる一日走りまわったけど、、

そうだ!農協とか市場にも電話してみよう!!!


と、問い合わせてみたの。。。


すると「あ〜残念ですね〜、1年の中でもほんの2週間くらいのこの期間なんですけどね、ハウスものもぜんぜん出まわらない期間があるんですよ。。。」


2週間なんて、、、待ってられないの(w_−; ウゥ・・

そのころ、往診のお医者さまには、「もう、あと何週間かなぁ〜」って、言われていたしね(;へ:)。。


いましかないの!!!

いましか!!!!!!!



と、、言ってみたところで・・・






ふと?




あ゛、、、ケーキ屋さんなら、

ショートケーキって1年中あって、いちごがのってるはず!!!!!!!




なんだかすっごい冴えてる〜♪って気持ちと、せめて、なんにも口にしないおばあちゃんが、いちごを食べることによって、食欲がでてきて、もしかしたら少しずつ元気になるかもしれないし!

そんなことをいろいろ考えながら、いまではすっかり有名なケーキ屋さんになりましたが、当時は開業1年目のあるお店へ向かいました。

私は店に入るなりガラスケースにかぶりついてショートケーキを見つける。






・・・(・_・?)・・うーーーん。。


なんか、、いちごが小さくてしかも堅そう(T▽T;) ・・・


こんなんぢゃ、、果汁もないワ(T▽T;) ・・・










と、ガラスケースの前で固まっている私を見たこのお店のオーナーの奥様がなにげに、


「あの・・どうかしましたか?」


ってたずねてくださったので

「スミマセン・・・今の時期のいちごって、なんか普通のいちごとちがう気がする・・・なあ・・・」


ってボソッとつぶやいたら

「ああ・・そうなんですよ。。。ほんのこの1〜2週間なんですけどね、いちごが出回らないこの時期だけ、アメリカいちごなんです(T-T)」



そうなんですか・・・やっぱり、、ほんとにこの時期っていちごがないんですね。。。

なんだかほんとに残念(TwT。)、、


でもまあ・・そんなにおばあちゃんだって食べられないし、とりあえずこの小さいけど丸いショートケーキにいちごが1個乗ってるケーキを、5つほど買えば何口分かにはなるかな〜・・・・


って考えてると、奥様も

「ごめんなさいね。。もう少しすると入ってくるんだけど、、どなたかにプレゼント?」


って、聞いてくださったもので、つい私ったら

「はい。。おばあちゃんがね、、もう余命なくて、最後にいちごが食べたいっていうもので、、今日はたくさんスーパーもまわってデパートや、市場も('-'*)・・でもひとつも売ってなくて、ケーキ屋さんなら!!!と思ってきたんです。でも、ないより、、あってよかったヾ(´▽`)ノ


このケーキ、、5個ください♪☆」



と、話しているそばから、あれあれ、、奥様、、目にうっすら目に涙を浮かべて、「ちょっと待っててくださいねっ」と奥へ行かれたので、、それだけでとっても私、、申し訳ないなあ・・でもうれしいな、と満足して支払いの準備しながら待っていました。




すると、、




奥から奥様と、うしろからついてご主人が出てきました。



そして、ふとご主人の持っているトレーを見ると、さっきとおなじ大きさのショートケーキ、、なんだけれども、、なんだかたくさん、、それも真っ赤で大きないちごがのってるよ?



すると、奥様が、


「あの、、お客さん、、実は今日だけ特別なケーキを作る予約があって、、そのケーキのためだけにいまの時期にしかない北海道から取り寄せた、、いちごなんです。。もしよかったら、、

おばあちゃんに、、このいちごを食べてはやく元気になってほしいとおもって、主人と相談して、数も仕入れてなくてほんの少しで申し訳ないんだけど、、どうぞおばあちゃんに(*´∇`*)」









・゚・(ノД`;)・゚・・・・私とってもうれしくて、、、、

いくらでもお払いします!って言ったけれど、お代はこのケーキ一個分しかいりませんから、って。。

私も泣きながら何度も何度もお礼を言って、とにかく急いで帰りました。


そしておばあちゃんに、いちごだけをつぶして、ミルクとお砂糖とまぜて、ピンク色のいちごみるくをスプーンで少し、、口に運んでみました。



最近はなんでも口に運ぶと口をつぐむのだけど、

「おばあちゃん、、いちごミルクだよ!♪」


って言うと、すこーーし口を開けたのです。。


飲んだ(TwT。)!!!


2口目、、 飲んだよ!


3口目、、飲んだぁぁぁ。゜゜(´□`。)°゜。。


そして4口目、、口をつぐみました。。


おばあちゃんまだたくさんあるよ!

って、言ったけど、もう2度と口をあけなかったの。。


でも、いっか!ほんとに点滴だけで生きてるから、あした4口、5口って増やしてけばいいよね♪


って、私は自慢げにケーキ屋さんの話をしながら、そしてこれは純粋にこの時期にはめったに手に入らない北海道のいちごなんだよ〜おばあちゃん♪と話をしました。


するとおばあちゃんは、もう動かなくなったのかと思っていた両手をぷるぷると震わせながら一生懸命ありがとうと手を合わせようと、、腕から先を持ち上げようとしています。。

手と手があと、、20cm!ってところで、力がなくなったのか、手が合わさることなく落ちちゃったけど、目じりから涙がツーーーっと流れて、口元は


「あ  り  が  と  う」

って動いたの。。



みんなでよかったね〜!よかったね♪

って喜んで、

その夜、ケーキ屋さんにおばあちゃんが食べられたこと、うれしかったこと、、ハガキにお礼をたくさん書いて、ポストに入れました。

  


それから、、



一週間した深夜に、

おばあちゃんは小さな咳をコホッとしたと思ったら、そのまま息を引き取ったのです。


ほんとに老衰というのでしょうか、少しずつ衰えて、眠るようになくなりました。痛むこともなく、細く小さくなったおばあちゃんの顔はとっても安らかでした。


そして、後にも先にも、最後に口にしたのは、あのいちごミルク(o^∇^o)。。




私もおばあちゃんこでした。
小さいころ、赤いジャンバーをきて、おばあちゃんと手をつないで通ったおつかい。
悪いことをすると、胸に手をあてて反省!と長い時間正座。
姿勢正すために背中にものさし。
包丁の使い方。
学校で、何かが配られるとき、順番待ちのとき、ぜんぶ最後にいただくこと
(←その後損することもあると学ぶ(笑))
にっけ飴、落雁、、、



なのにお転婆と化してゆく私(爆)



おばあちゃんはいまでも、おじいちゃんとそこにいるヨ〜

見られてるよw




さて、、


お葬式も終わって、何日かあけた家に戻りました。



ポストを見ると、たまった郵便物を押しのけるように大きな封筒が差し込まれています。



ん?   


手にとって、差出人を見ると、

「ケーキ屋 一同」と書いてありますよ。


 
※2016年現在 そのケーキ屋さんは屋号を新しくされています。


私は、もしかしてクーポン券かなにかかな〜w

なんて軽い気持ちでその場で開封してみました、、


すると中から、

いちごの形に切ったピンク色の模造紙に、従業員全員の方の寄せ書き、、

題名に


「いちごの大好きなおばあちゃんへ」

とあり、、10人の従業員ケーキ職人のかたがた一人一人がおばあちゃんへメッセージを書いてくださってます。。


そのうちの10代の青年は、
「いちごの好きなおばあちゃんへ。僕は、ケーキ職人をめざしています。修行はとても大変だけれど、将来、おばあちゃんに僕のショートケーキを食べていただけるようにがんばります!」

30代の職人の方は、
「いちごの好きなおばあちゃん、僕はケーキ職人になって、こんなによかったと思ったことはありません。もっとおいしいショートケーキにとびっきりのいちごをのせるので、はやく元気になって、食べにきてください。」



などなど、、、どれも心がこもって、、、

寄せ書きの上に涙が落ちます。


そして、もうひとつ、便箋がはいっていました。

5枚にもわたりぎっしりと、奥様からのメッセージが書かれています。

内容は、自分たちがケーキ屋さんをはじめたこと、迷ったりしていたこと、いちごのおばあちゃんの、食べていただいた知らせを受けて、こんなに、こんなにケーキ屋さんをしてよかったと思ったことはありません。。という内容を切々とつづっておられました。

これからも自分たちは人に喜ばれるケーキを作り続けていきたいと思います。そして、おばあちゃんにまたいちごのケーキを食べていただきたいので、はやく、元気になってくださいと・・・









でも、、  ちょっと、、おそかった(;へ:)。。


私、そのままその封筒を持って、、とにかくお礼と、お知らせもしなくちゃ、、とすぐにケーキ屋さんに向かいました。


お店に入ると、すぐに奥様が私を見て、

「わー!!のらきちさま〜!!いらっしゃいませ!」


そして、女性店員の皆さんもみんなで「いらっしゃいませ!」


その笑顔には、寄せ書き、届きました〜♪?って表情が、、



でも、私、なにも言えずに最初はニコニコしてたんだけど、、だんだん涙があふれてきて、、ありがとうございます・・って言えたかいえてなかったか、、涙がとめどなく流れるもんで、、

奥様、、ちょっと、、、すぐに顔色は変わって、、

奥のご主人を呼びにいかれました。



奥からご主人の表情はすでに悲しげにされてましたが、、私の顔を見て、、ただだまって、、うなずいておられました、、


すると厨房の中からぞろぞろと、、みんなみんな出てきてくださって、、、


カウンターごしに10名の職人さんたち、、、

まだ10代の青年、みんなみんなの涙がたくさんあふれてポロポロと悔しそうに泣いてくださいました。


私はポツリと、今日、お葬式だったこと伝えました。






もう少しはやかったら棺に一緒に入れられたんだけどネっ
いまはお仏壇の戸のうちにしまってあります。



その後のそのケーキ屋さんに行きますが、2年たっても、3年たっても、いちごのおばあちゃんとのエピソードを、話すことがあります♪


そしてこのエピソードは、5年、10年たっても、何かあったとき、私の心をすぐにあたたかくしてくれます。

人と人のつながり、たまに忘れがちな何かを、いちごのショートケーキを見ると思い出すのです。






ここのオーナーと奥様の人柄はすばらしく、変わらず、だから、現在
とってもすばらしいケーキ屋さんを再オープンされています。。。
 
| とり天娘 | 読み物系 | 14:00 | comments(14) | - | pookmark |
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